第七羽

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智代の命日がやって来て、俊作と桃子は智代のお墓へ向かった。 そこで、やっぱり高志と、佳代に会った。 「桃子、久しぶりだね。」 高志は、申し訳なさそうな顔をしているが、桃子は頷くだけで、何も答えなかった。 「桃子の父です。」 不思議そうに見ている俊作に、高志はそう言った。 「あ、お父さんですか!あの初めまして!桃子さんとお付き合いさせていただいてます。平野俊作と申します!」 いきなりの不意打ちに、俊作は緊張して、声が上ずっていた。 佳代は、自分の名前だけ告げ、俊作に頭をペコリと下げた。 俊作は、佳代を見て、桃子の姉かと思ったようだった。 「もしよかったら、これから昼食でもいかがですか?」 高志は、俊作にそう声を掛けた。 「あ、はい、是非!」 俊作には、まだ本当の事を言えてなかった桃子は、仕方なく、お昼を一緒にする事にした。
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