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初夏の夜。
いたずらに日記帳を、風がパラパラとめくるのだ。
まるで、真実を知れと言わんばかりに、風が日記帳をめくり続けた。
一枚の写真が落ちてきた。
桃子はそっと拾いあげた。
智代の若い頃の写真だ。
あの厳しい母の面影は、一切ない。
白黒だが、化粧をケバケバしくして、スカートはミニ、ヒールもかなり高い。
子供を縛るだけ縛っておいて、自分は自由に生きてきたんだ。
桃子は、その写真を見て、余計に腹が立った。
その間にも、風はパラパラと日記のページをめくって行くのだ。
桃子、お願い、私はあなたを愛していたのよ。
そう智代が叫んでいるように・・・
桃子は、日記を早く処分したかった。
もう、智代に縛られて生きるのはうんざりだった。
父に聞こうと思い、開いたページに写真を挟んだ。
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