第九羽

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初夏の夜。 いたずらに日記帳を、風がパラパラとめくるのだ。 まるで、真実を知れと言わんばかりに、風が日記帳をめくり続けた。 一枚の写真が落ちてきた。 桃子はそっと拾いあげた。 智代の若い頃の写真だ。 あの厳しい母の面影は、一切ない。 白黒だが、化粧をケバケバしくして、スカートはミニ、ヒールもかなり高い。 子供を縛るだけ縛っておいて、自分は自由に生きてきたんだ。 桃子は、その写真を見て、余計に腹が立った。 その間にも、風はパラパラと日記のページをめくって行くのだ。 桃子、お願い、私はあなたを愛していたのよ。 そう智代が叫んでいるように・・・ 桃子は、日記を早く処分したかった。 もう、智代に縛られて生きるのはうんざりだった。 父に聞こうと思い、開いたページに写真を挟んだ。
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