第九羽

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【桃子へ 桃子の本当の母親は、佳代です。 だから、私がいなくなっても、佳代が居てくれます。 ============】 その後の文章が、ボールペンで黒く塗りつぶされている。 さっきまで、見るつもりはなかったが、人は見えないものを見ると、つい続きが知りたくなるものだ。 出てくる手紙を纏めて見ても、全部ボールペンで黒く塗りつぶされている。 何を書くつもりだったの? 桃子は、智代の日記を開いた。 【1982.5.3 桃子が生まれる。桃のように可愛い子だと、佳代が桃子とつけた。 本当に可愛い。】 私が、可愛い・・・? 桃子は、少し先にページをめくった。 【1995.6.3 佳代が、桃子に厳しすぎると、私から桃子を取り上げようとしている。 確かに、佳代には申し訳ないかも知れないが、私は桃子を愛している。 桃子を立派に育てて見せる。】 私を束縛していただけなのに・・・ 【2000.7.4 桃子をどう教育していいか、迷っている。 私は若い頃、好き勝手しすぎて、子供を産めない体になってしまった。 桃子にも同じようになってほしくない。 桃子がレースのパンツを履きたがっていたが、どうしたらいいのだろうか・・・ それをやめさせるために、桃子にひどい事を言ってしまった。 私は、母親失格なのだろうか・・・】
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