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「桃子、大人が子供を叱るのは、子供に自分と同じ過ちを犯して欲しくないからだよ。」
「桃子、好きな男以外の前で、股を開く女はだらしがないんだよ。
肝心な時に、好きな男の子供を産めなくなるんだからね。」
「桃子、爪先の尖ったヒールで、もし道端で躓いたらどうするの?危ないでしょう。
靴はオーダーメイドで買って履いた方がいいのよ。」
「桃子、桃子、桃子・・・」
母の声が聞こえてくるようだった。
桃子は間違いなく、母に愛されていた。
ただ、その愛の表現が、母は下手くそだっただけなんだ。
そして、父の事も愛していたんだ。
だけど、父の子供を産めない後ろめたさで、どう接していいのか、母はわからなかったんだ・・・
本当は、この世で一番不器用な女だったんだ・・・
真実を知ると、こんなに悲しいのだろうか、桃子は涙が止まらなくなっていた。
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