第九羽

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桃子の泣き声は、別の部屋にいた俊作たちにも聞こえた。 「桃子、どうした?」 日記を手にしながら、泣き続けている桃子に、俊作は駆け寄った。 そして、高志や、佳代もやって来た。 「桃子、どうしたんだ?」 悲しすぎて、声が出ない。 こんなに、悲しい女を、桃子は今まで見たことがない。 不器用で、愛情表現が下手くそで、それでも誰よりも桃子を心配していた母。 きっと、憎まれる事はあっても、愛される事が出来ない女、智代の生涯に、桃子は涙が止まらなかった。 高志も、その日記をめくり続けた。 そして、涙が溢れる。 そんなに不器用にしか、生きられなかった母。 籠の中で、羽を自ら毟りながら、飛び立つ事をやめたんだ。
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