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自分の子供、自分で産んだ、愛する人の子供。
だけど、母は、愛する人の子供を産む事が出来なかった。
今の桃子なら、確かにその辛さがわかる気がする。
桃子は、生まれてきてくれたわが子に感謝の気持ちで、涙が溢れそうになった。
夕日が完全に沈みかける頃、空が金色に光る。
きっと、涙がそうさせているのだろう。
自由な空は、どこまでも美しく広がる。
でも、切なくなる。
どこまで自由に飛べばいいのか、その自由の高さを計る事は難しい。
その答えは、この子を育てて見ないとわからないのだ。
「大人は、自分と同じ過ちを犯して欲しくないから、子供を叱るんだよ。」
それを子供に伝えるのは、本当に難しいこと。
だけど、愛していれば、いつかはその思いがきっと伝わるはずだ。
こんなに綺麗な空を、
金色に染まった空を、
飛べない鳥のままでは、悲しすぎる。
母が飛べなかった空を、
私がきっと飛んで見せる。
-完-
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