珈琲ハウス『ルカ』

3/16
前へ
/451ページ
次へ
「それは…」 山下マネージャーの言葉に、言葉が出ない… 正直言って… 私はお兄ちゃんの名前を出すことが嫌だった… お兄ちゃんの力がない私はなんなの? と思えてならなかったから… 「放送中に最低3回はアピールしろと言ったはずよ。」 強く言う山下マネージャーに謝ることしか出来ない私… 「ごめんなさい…でも…」 「でも?」 私の言葉にピクッと右側の眉を吊り上げる山下マネージャー。 「いいえ…なんでも…」 私は首を下げると、スタジオから出て、帰る準備をする… 「そうそう…あなたは私の言うとおりに動けばいいのよ…約束してあげる…私が必ずあなたをスターにしてあげるってね。」 山下マネージャーはホホホと甲高い笑い声を出しながらスタジオを出て行った。 「葉月、気にしない、気にしない、ねっ!」 弥生ちゃんが私の肩に手を置いてウインクしてくれた。 「うん…ありがと…弥生ちゃん…」 私が苦笑いでも笑うと、弥生ちゃんもまた笑ってくれるのでした。 「それじゃあ、送っていくよ!」 マネージャー見習いの山田くんが白い歯を見せて笑った。
/451ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3150人が本棚に入れています
本棚に追加