3150人が本棚に入れています
本棚に追加
「それは…」
山下マネージャーの言葉に、言葉が出ない…
正直言って…
私はお兄ちゃんの名前を出すことが嫌だった…
お兄ちゃんの力がない私はなんなの?
と思えてならなかったから…
「放送中に最低3回はアピールしろと言ったはずよ。」
強く言う山下マネージャーに謝ることしか出来ない私…
「ごめんなさい…でも…」
「でも?」
私の言葉にピクッと右側の眉を吊り上げる山下マネージャー。
「いいえ…なんでも…」
私は首を下げると、スタジオから出て、帰る準備をする…
「そうそう…あなたは私の言うとおりに動けばいいのよ…約束してあげる…私が必ずあなたをスターにしてあげるってね。」
山下マネージャーはホホホと甲高い笑い声を出しながらスタジオを出て行った。
「葉月、気にしない、気にしない、ねっ!」
弥生ちゃんが私の肩に手を置いてウインクしてくれた。
「うん…ありがと…弥生ちゃん…」
私が苦笑いでも笑うと、弥生ちゃんもまた笑ってくれるのでした。
「それじゃあ、送っていくよ!」
マネージャー見習いの山田くんが白い歯を見せて笑った。
最初のコメントを投稿しよう!