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寒さでガタガタと震える体を丸めていると…
「ん?」
いい香りが、どこからともなくしてきた…
温かくて…
優しい香り…
「珈琲?」
私は香りに釣られるように歩き出す。
私が飛び込んだマンションの裏に、そのお店はあった。
『コーヒーハウスルカ』
と、書かれた看板が光っていた。
マンションの1階に店舗を構えている。
珈琲の温かい香りに、私はフラーと、店のドアを開いた。
カラン♪カラン♪
と、鈴の音が響いた。
「いらっしゃいませ~」
カウンターから、男性の店員さんが挨拶をする。
「………………」
店を見回す…
お客さんは、この大雨のせいか誰もいない…
コポコポと美味しそうな珈琲の煮だつ音と香りが店内に溢れている……
「あれ?どうしたんだよ!!そんなにずぶ濡れになって!」
「え?」
突然、カウンター内でコップを布巾で拭いていた店員さんが私に言ってくる。
「傘持ってなかったのか?待ってろ!今タオル持ってくるから!」
慌てて店の奥に消えていく店員さん…
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