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「そ、そんなこと…」
私は、何言っていいか分からなくて、口を閉じる…
正直、面白くはなかった…けど、なぜか目を離せない、何かがあった…
「無理しなくていいよ…描いてる本人がつまらないって思う物が面白い訳ないんだから。だから、あの漫画は打ち切りになって良かったんだよ!」
明るく笑う中井に、私は顔を上げる。
「え…?打ち切りになって良かったの…?」
「ああ…担当から打ち切りを訊かされた時は正直落ち込んだけどな…自分が納得いかない物をダラダラと描いていたくは無かったから…だからこれでいい!」
本当に悔いはないのか、その笑顔は清々しい中井…
「もう…描かないの?」
私は、少し残念な気持ちでコーヒーカップに口をつけながら訊く。
「描くよ…俺には漫画しか能がないから…でも、とりあえず、今無職になったわけだろ?またここで働きながら1から頑張るさ!」
その笑顔に少しホッとする…
「中井は強いな~。私なんかちょっと、兄と比較されただけで落ち込むのに…」
クスッと苦笑いで珈琲を飲んでいると、中井もクスッと笑う。
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