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「何言ってるんだよ?躓きさえも力に変えるんだろ?」
「え?」
私は、再びコーヒーカップから視線を中井に戻す。
中井が言った言葉は私のデビュー曲…『スタート』の歌詞だった…
「葉月のソロデビュー曲なんだろ?俺あの曲を聴いて立ち直れたんだぜ…なのに歌っていた本人が簡単に躓いていたら、説得力ないだろ?ハハハハ!」
と笑う中井を呆然と見てる私…
「ほら!笑って!笑ってみ?」
「え…?笑うって…ここで?」
キョロキョロと店内を見る…
「誰もいないよ。それより嫌なことや辛いことがあった時こそ笑ってみるんだよ。さ、笑え!」
強引に笑いを強要してくる中井に思わず笑う…
「笑えって…強要されて笑うものじゃないでしょー!むちゃくちゃだー!アハハハハハ!」
「そう!それだ!アハハハハハハ!」
今日、それぞれに嫌なことがあった2人…
ヤケクソとも思える2人の笑い声が店内に響いていた…
無理にでも笑っていると、今日あったことが、それほど悪くなかった気がするから不思議だ…
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