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「はぁ~…とにかく、気にすんなよ。もしまた俺が今の俺を忘れても、この傷が今度は目印になって今の俺まで導いてくれるかもしれねえし、無理でもお前の所までは案内してくれるかもしれねえだろ?だからさ。」
そこで一度言葉を切って、ルビーと目を合わせて言った。
「気にはしないで、でもちゃんと覚えていてくれよ。俺がお前と一緒にいる時間を。正直、俺はまたいつか俺を忘れそうな、そんな気がすんだ。…俺の勘、今まで外れたことねぇからさ。」
そう言って苦笑いすれば、ルビーは少し戸惑った顔をしたあと、
「どうして、そんなことボクに言うんだい?」
と泣きそうな顔をして呟いた。
何で、どうして、かぁ。
何でかな、聞かれたら俺も困っちまうな。
答えはない。
気まぐれかもしれないし、はたまた勘かもしれない。
別に出会ってまだ1日も一緒にいない奴だ。
特別な感情があるわけでもない。
セレビィが手持ちにいるって以外は、別に特別な所はない奴だし。
それとも、そのセレビィが理由なのかも、な。
「…朝飯にしようぜルビー。明日には次の街だ、急がないと今度こそ野宿だぜ?」
そのあとは適当に飯食って、宿屋を後にした。
ルビーも俺に合わせて元通りを装ってっけど、時々難しい顔をして俺のこと見てるのを、俺は気づかないフリをした。
俺だってわかんねえよ、なんであんなこと言ったのか。
相棒達にも、ましてやジョウトやカントーの奴等にも言ってねえのによ。
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