43人が本棚に入れています
本棚に追加
「…どうだナイトメア、気配、あるんだろ。」
俺は周囲を気にしながら、相棒に声をかける。
相棒はチラリと俺に視線を寄越すが、直ぐに視線を反らした。
ははっ、相変わらずクールだな俺のパートナーは。
だが言いたいことは十分わかる、不思議がっているんだ。
そう、何度も言うが○キ○リ並なしつこさだ。
なのにかれこれ30分は気配はあれど、姿を見せない。
もちろんその方が俺達も足止めを食わずに、且つ無駄なストレスを感じずに森を突破出来るからありがたい。
だが気配が有る、と言うのがどうも考えずにはいられない。
戦いたい、が、それをしない訳がある、ということだ。
例えば、出来れば関わりたくない『何か』がいる、とか。
…出来れば考えすぎであることを願うが、俺のこの勘…俗に言う、女の勘は外れた試しがないんだ。
「………来るぜナイトメア、『何か』のお出ましだ。」
前方から何かが来ることを察知して2人(正しくは1人と1匹)で身構える。
気配は3つ…いや、4つ…か?
待てど暮らせど姿は見えない。
ただ(いつの間にか)夕日が差し込む森が続いている。
草が生い茂って見えないならまだしも、生憎俺のこの位置からなら、道のど真ん中な訳だからだいぶ先まで見える。
だからもう姿が見えてもいい位なんだが…。
「っ、上だナイトメア!!」
俺がナイトメアに指示を出すのと、俺達の近くの木の上で何かが吠えるのはほぼ同時だった。
最初のコメントを投稿しよう!