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「俺の目的は、ジムでもコンテストでも、もちろん金でも何でもない。俺を探す旅…自分探しの旅だ。」
「自分探しの旅…?」
俺は空になったボールをルビーに投げ返すと、話を続けた。
「俺は昔の自分を知らねぇんだ。気付いたらジョウト地方にいて、傍らにはブラッキー、つまり俺の相棒ナイトメアがいた。ナイトメアも俺と同じだ。だから一緒に行動してる。ジョウトを巡ってる時にコイツにも会ったんだ。」
なっ、と話を振れば、セレビィはこくりと頷いてくれた。
「………顔見知りなのはわかったけど、だからってこんなことする必要があったの?」
「お前さ、つまり戦うところが見られたくないんだろ?俺の旅は目的地がない、つまりはただ世界を回るようなものだ。お前もこの地方を歩き回るんだろう?」
「た、確かに見られたくない、と言うより出来れば戦いたくないし、この地方を歩き回ることにもなるけど、だからなんだっていうんだい?」
にっ、と笑って俺は提案した。
「俺はお前の代わりに戦う。お前は明らかに野宿しないタイプだろうから、俺と一緒の部屋で寝ればお互い宿代が少なくなる。もちろん食費もな。それは旅人として俺がかなり助かる。無期限ってのはその辺が一番重要だからな。」
どうだ?と意見を求めれば、確かにそれは助かるけど、といい返事が返ってくる。
それに満足して俺は頷いた。
「なら利害一致だ、俺も行く。悪い条件じゃあないだろう?」
しばらくルビーは考えた後、
「………わかった、条件を飲むよ。」
と真剣な顔で俺との交換条件を飲んだ。
ま、俺からしたら良いこと尽くしなんだけどな。
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