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*男と女
古びたホテルの一室。
少し頼りない部屋の灯かりが、重苦しい雰囲気の二人を照らしている。
男は、どこに視線を合わせるでもなく、ぼんやりと天井を向いている。
女は、うっすらと涙を浮かべて、男の気持ちを探ろうとしている。
「あの頃に戻りたい‥ 貴方を知らなかったあの頃に‥」
「ねぇ戻して!! あの頃の私に戻してよ!!」
「お願いだから‥」
女は泣き崩れる。
男は、そんな女に視線を合わせ、おもむろにベッドへ押し倒す。
「いやっ!!」
女は必死に逃れようとするが、男の力強さに屈し、やがて抵抗するのを諦めた‥
静まりかえった部屋に、ベッドの軋む音だけが哀しく響き、二人は一つになった。
事を終えた男は、ベッドから起きあがり、埃臭いカーテンを開ける。
まだ外は暗く、窓には男の横顔が写しだされる。
男は、窓に写った自分の顔を見つめ、ゆっくりと重たい口を開く‥
これでイイのだw
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