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「えっとですね。この病気に掛かると体質や体格が変わってしまうんです。」
『はぁ?』
ま、こんなことを理解しろと言う方が無理なのかもしれない。
「実際、見て貰った方が早いと思いますので病室に向かいましょう。」
「あ、あの、楓は病気の事知っているんでしょうか?」
心配そうに咲が尋ねると前を向いたまま歩きを止めず先生が答える。
「あれから楓くんはまだ目を覚ましていません。
なので病気の事は知りませんし、自分がどうなっているのかも知りません。」
病室の中に入るとベットの上には可愛いらしい女の子がスースーと気持ち良さそうに寝息をたてている。
「えっと、ここは楓の病室なんですか?」
「そうです。」
「この子は?」
「楓くんです。」
「…………。」
あまりの驚きに両親2人は声が出ない。
16年間家族として一緒に過ごして来た男の子としての楓の姿は無かった。
しかし、2人はベットで寝ている女の子を見て彼女が楓本人であると確信した。
「若い頃の母さんにそっくりだな。」
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