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「先週、高熱出して倒れたでしょ?あれがね、どうやら風邪じゃなかったみたいなの。」
俺は小さく頷くが、未だに何も考えられず一言も発しはしない。
「私も病院の先生の説明聞いたり、貰った資料を読んで理解したんだけど……。楓も1度読んでみなさい。」
母さんは退院の時に貰ったらしい資料を俺に渡し優しく微笑み掛ける。
「突発性染色体及び体内ホルモン変異症候群。」
そう呟きページをめくる。
しばらくは俺が資料をめくる音だけが部屋に響く。
「……なるほど。」
資料を一通り読み終えた俺はそう呟いてまた黙る。
「そんなに考え込んじゃダメよ。1度の人生で男も女も体験出来るなんてなかなか無いわよ?もっとポジティブに行かなきゃ!
それにお父さんも私も娘が欲しかったから。」
息子が悩んでるっつーのに能天気過ぎるだろ。
でも、そんな母さんを見て少しだけ心が軽くなった。
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