877人が本棚に入れています
本棚に追加
/220ページ
ここは長州の片田舎、
諍いとは無縁の平和な村。
「もぉ~待ってよ晋ちゃん、栄太郎!」
「ったく、だからチビスケはついてくんなって言ったんだよ」
「ケガしても知らないよ~?花緋」
村の小高い丘の上に通じるけもの道を我が物顔でぐんぐん突っ切っていく青年とそのすぐ後を涼しい顔で走り抜ける青年。
そしてその2人を見失わないように必死で後を追う花緋と呼ばれた少女が1人。
「晋作、これ以上離れると花緋がはぐれるよ」
後ろから静かな口調で囁く青年に、晋作と呼ばれた青年はチラッと遠く小さくなった花緋に目をやるとぶっきらぼうに分かってるよ、とだけ答える。
実際それ以上花緋が2人から離れる事もなく、花緋は夢中で前を行く青年達の背中を追った。
しばらくすると視界が開けてくる。
.
最初のコメントを投稿しよう!