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「芹沢さんは風間を心底気に入ってるはずです。
なのに酔いにかまけて風間を殴りつけたとして、その結果酔いが覚めた時後に残るのは後悔のみでしょう」
「…………」
「ですから俺は止めました。――芹沢さんに後悔など、してもらいたくはありませんから」
何も言わずに新見の言葉を聞いていた芹沢は、新見と花緋に交互に視線をやると鉄扇を懐にしまい身を翻した。
「――行くぞ」
そう言うなり、振り向きもせずに芹沢は店を出て行った。
それに続き慌ててついていく野口達。
新見も小さなため息をつくと、花緋にチラとだけ目をやって背中をポンと叩き、店主に一礼だけして芹沢の後を追いかけていった。
後に残ったのは、花緋ひとり。
「――新見さんだって十分私のこと女扱いしてる」
人のこと言えない、とこの前の沖田と新見のやり取りを思い出して花緋はひとり、クスリと笑みを零した。
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