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「わぁ…!!」
あまりの感動に思わず言葉を失う花緋。
そこには村一面を見渡す風景と、とても大きな桜の木には春を告げる桜の花びらが満開に花開いていた。
その桜の下にはやっと来たか、という表情をした二人が花緋を待っていた。
そんな二人に笑顔で駆け寄る花緋。
「本当に置いていかれちゃうかと思っちゃった」
「置いていく訳ないじゃない、晋作は花緋が可愛くてしょうがないんだから」
「栄太郎!てめぇ適当な事抜かすな!!」
――全く素直じゃないんだから…
晋介に栄太郎と呼ばれた青年は顔を真っ赤にして怒る親友の反応があまりに面白くて思わずクスリと笑いをこぼす。
何笑ってるんだよ、と言わんばかりの顔で睨む晋作に栄太郎は肩をすくめて花緋に顔を向ける。
「花緋、何で今日はついてきたの?いつもならこんなに無理やりついて来ないのに」
栄太郎に問われ花緋は自分より頭2つ分程の高さにある栄太郎の顔に目をやり、それから傍らに大きく佇む桜の木を見上げた。
「ウチからね、この桜の木が見えるの」
そう言って、木の幹をそっと撫でる。
とても、…―とても愛しそうに…。
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