No1

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それから何日かしたある日、いつもどおり廊下の掃除をしていた俺なんだが、 見ちゃったんだ。客室からこっそり出てくる女将さんを。 女将さんは基本、部屋の掃除とかしないんだ。そうゆうのするのは全部美咲ちゃん。 だから余計に怪しかったのかもしれないけど。 はじめは目を疑ったんだが、やっぱり女将さんで、その日一日もんもんしたものを 抱えていた俺は、結局黙っていられなくて友達に話したんだ。 すると、Aが言ったんだよ、 A「それ、俺も見たことあるわ」 俺「おい、マジか。なんで言わなかったんだよ」 B「それ、俺ないわ」 俺「じゃー黙れ」 A「だってなんか用あるんだと思ってたし、それに、疑ってギクシャクすんの嫌じゃん」 俺「確かに」 俺達はそのとき、残り1ヶ月近くバイト期間があった訳で。 3人で、見てみぬふりをするか否かで話し合ったんだ。 そしたらBが 「じゃあ、女将さんの後ろつけりゃいいじゃん」 ていう提案をした。 A「つけるってなんだよ。この狭い旅館でつけるって現実的に考えてバレるだろ」 B「まーね」 俺「なんで言ったんだよ」 AB俺「・・・」 3人で考えても埒があかなかった。 来週には残りの2人がここに来ることになってるし、何事もなく過ごせば 楽しく過ごせるんじゃないかって思った。 だけど俺ら男だし。3人組みだし?ちょっと冒険心が働いて、「なにか不審なものを見たら報告する」ってことで その晩は大人しく寝たわけ。
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