第1歩

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6月28日 15時45分 3号館3階 ゼミ室2 企画担当委員が集まった。 朝のホームルームで企画担当委員の集合場所と時間が発表されていた。 『午後3時45分にゼミ室2に集合』 こう書かれたメモは笹井の手を通じて各担任のメールボックスに投函されており、依頼した吉澤自身も朝のホームルームで伝えられた。 「全員集まった? 始めるよ!」 吉澤が開始を伝える。 「えー、全員も知ってると思うが、今年は開校50年、まぁ俗に言う節目ってヤツだ。 後夜祭も力をいれるって言ってるし、我が企画が何にもしないのかと、言われりゃ、んな事言えないんだよな。まぁ何かしらやりましょう。で、何か案ある?」 吉澤の問いかけに、パラパラと手が挙がる。 「じゃあ、言ってく奴はクラスと名前を言ってからよろしく。 じゃあ、そこの、二列目の、右から三番目」 指名された、丸刈り坊主の委員が立ち上がる。 「高校1Dの林です、野外ステージでお笑い芸人のライブってのはどうでしょう?」 しかし、反論が挙がる 「すいません、中学3の4の鹿野です。ライブ系は後夜祭の方と被るんじゃ……」 ここで言いにくそうに吉澤が言い出した。 「あー、実は、後夜祭のチーフ……、オフレコだとか何とかで、まだ何やるか解らないんだよね……」 ゼミ室がざわめく。 「チーフ、高校1Gの中島です。 全員一致で来客3500人を目指してるのに、隠すのは如何なものでしょうか?」 「わかった。お笑い芸人のライブで行こう。 あと、意見がある奴?」、 と、また手が挙がる。 「中学3の3の中瀬です。ライブもいいですが、やはり被るリスクは回避すべきです。 ここは、ラジオ局のパーソナリティーに来て生番組をやってもらうのはどうでしょう?」 しかし、これにも反論が挙がる。 「高校2Fの若宮だけど、ラジオはいいと思うけど、コストがかからないか?確かに、楽しみも重要だがコストのかかりすぎはちょっと……」 「コスト面は顧問に掛け合う、他無いか?」 今度は手が挙がらなかった。
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