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「そう。此処は真王であるセィミヤ陛下の領地。貴方は処から来たの?」
すると少年は恐る恐る口を開いた
「俺は……ラファエルから来た…。もしかして、あんたが俺を助けてくれたのか?」
そう言って、少年はエリンを見た
すると少年は驚いたように声をあげる
「!!! お前、霧の民(アーリョ)なのか?」
そう聞くとエリンの顔が歪んだ
「そう。あなたを助けたのは私よ。
でも私は霧の民ではないわ」
哀しそうにエリンが言った
「助けた」という言葉を聞いた瞬間、少年の耳が鋭く立った
そして、ふらつきながらもエリンの前で膝を床につけ、両手の平を額にあてる正式な礼をした
「…先ほどの無礼をどうかお許し下さい。
貴方様は私の命を救ってくださった。このような私を救ってくださった…」
いきなり自分の前にひざまずいた少年を見てエリンは驚いた
「!? 何を言ってるの?早く立ってベッドに戻りなさい!!傷が開いちゃうでしょう」
すると、少年は答えた
「いいえ。立場は弁えなければいけません ……………主(あるじ)」
「!?何言ってるの!!
早くベッドに戻りなさい」
エリンは驚いた様に言った
何とか少年をベッドに戻らせると、エリンは少年に尋ねた
「何故、私があなたの主なの?」
少年はぽつりと話し始める
「私の一族は、古来より他の人に仕えてきた種族なのです。
人に仕える事が私達にとって、一番の幸せなのです。でも………」
「でも?どうしたの?」
エリンが尋ねると、少年は急に震えだしながら静かに答えた
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