3章 夢の中で

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「私達一族は人間と違い、とても力が強く、体力も人間より多いのです。 それを狙って悪い人間達が、私達を奴隷にしようと、沢山の仲間をさらっていったのです…。 最初は私達も『人に仕える』ということで喜んでいました。 しかし、次第に仕事は酷くなっていき、何百人という死者が出ました……。 私はそれに耐えきれなくなって、逃げ出してきたのです…。 ですが、私の仲間も、あと2、3人しか残っていなかったので…。 今頃はもう死んでいるでしょう………」 エリンはじっと座って話を聞いていた 「そうなの…。一体誰がそんな事を……」 「ですが、今は貴方様が私の主です」 「何故?」 「本来ならばとっくに失われていたこの命…。 それを主は救ってくださった。 主は私の命の恩人です。 私の一族は命を救ってもらうと、その方に仕えるという掟があるのです」 「……でも、私が主なんていけないわ。第一、あなたが辛いでしょう」 「いいえ!!私達は良い人に仕えて初めて幸せと言えるのです。 主は私に幸せを導いてくださった…。あの地獄から私を救ってくださったのです!!!!」 「そう……。なら、好きにするといいわ。ところであなたの名前は?」 エリンが尋ねると呆然とした顔で少年は答えた
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