1章

2/8
前へ
/34ページ
次へ
  カツカツカツ 自分の靴の音が響く程静かで 誰も近づきたがらない忘却の塔 今も聞こえるのは上に昇る自分の足音だけ カツカツカツ 足音は響いて 一つのドアの前で止まる この塔の唯一の部屋の前で 「入るよ、アリス」 ノックもせずに入る 部屋の住人はベッドの上で倒れていた 今日は真っ赤なエプロンドレスを着ていて 「今日は只の着せ替え人形だったのかな?」 「…………なんだ、白兎か」 起き上がるのも面倒なのだろうか チラッとこちらを見て、また枕に戻る頭 「今日の女王様はどうだったかい?」 「えらく機嫌がよかったよ、今日はまだ誰も首を刎ねられてないんじゃね?」 「そっか、なら僕も大丈夫かな」 「いや、アンタはムリだろ」 女王様は僕の事が嫌いらしい アリスを彼女の前に連れてきたのは、僕なのに  
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加