1章

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  「何でだろうね」 「時間にルーズだからだろ、その首の時計意味ないし」 「これは女王様からのプレゼントだよ」 首にかけている鎖で繋がれた時計 時間にルーズな僕への忠告 「なら時間守れよ、今日会議って聞いたけど」 「それよりも、アリスに会いたくて」 嫌悪で歪んだ綺麗な顔 その歪んだ顔が、とても好きだ 「悪趣味」 「何とでも」 「オレ、もう今日疲れたんだけど」 「大丈夫、キミは只そこで寝てればいいから」 ギシッとベッドに乗りあがる音 この塔はあまりにも静か過ぎて その音さえも響いてしまう 「いや、何が大丈夫なんだよ」 「何がって……何がだろうね?」 「オレ、アンタのそういう適当な所嫌い」 「僕は好きだよ、アリス」 背けられた顔を無理やり向かせて 何かを言われる前にその唇を塞いでしまう そうしたらほら、煩かった言葉も 途端に苦しそうな声に変わっていった  
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