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「後者は有り難い事ですが……猫とは、公爵夫人の?」
「あぁ、あいつの飼い猫だ」
飼い猫と言うほどに従っている訳でもなく
かといって野良猫なわけでもない
不思議な、チェシャ猫
「どうやら公爵夫人の我侭が始まったようでな」
「あぁ、あの人我侭ですもんね」
何処かの誰かと一緒で
言わなかった僕は少しだけ成長したと思った
「アリスを狙っているようだ」
「それはそれは」
「今朝方庭で猫を見たと報告が入っている」
「へぇ、アリスを」
女王様の玩具に手を出すとはどういう事か、公爵夫人が一番分かっているだろうに
あの人は何度となく痛い目を見ているというのに
「懲りないなぁ」
「全くだ。そこで、護衛を兼ねて猫を捕まえてほしい」
「いいですよ」
「ついでにアリスに付き纏うあらゆる者を排除しろ」
都合がいいから、ねぇ
その中に僕が混ざってるなんて知らないのだろう
知っていたらこんな事を頼む訳がない
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