1章

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  「後者は有り難い事ですが……猫とは、公爵夫人の?」 「あぁ、あいつの飼い猫だ」 飼い猫と言うほどに従っている訳でもなく かといって野良猫なわけでもない 不思議な、チェシャ猫 「どうやら公爵夫人の我侭が始まったようでな」 「あぁ、あの人我侭ですもんね」 何処かの誰かと一緒で 言わなかった僕は少しだけ成長したと思った 「アリスを狙っているようだ」 「それはそれは」 「今朝方庭で猫を見たと報告が入っている」 「へぇ、アリスを」 女王様の玩具に手を出すとはどういう事か、公爵夫人が一番分かっているだろうに あの人は何度となく痛い目を見ているというのに 「懲りないなぁ」 「全くだ。そこで、護衛を兼ねて猫を捕まえてほしい」 「いいですよ」 「ついでにアリスに付き纏うあらゆる者を排除しろ」 都合がいいから、ねぇ その中に僕が混ざってるなんて知らないのだろう 知っていたらこんな事を頼む訳がない  
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