銀の髪と青い瞳

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 女は、苛立ったように子供を怒鳴った。  「マルシャ、早くしな!リク・ミオルが来るよ!」  その容姿からは想像もつかないような言葉遣いだった。  「わかってらぁ、んなでけぇ声で叫ぶんじやねぇ!」  フードを被った子供も、負けじと声を張り上げる。  子供は帆をマストに結び付けていたロープを、器用に一瞬で解くと、高さ四、五メートルはありそうなマストから飛び降り、甲板へと音も立てずに降り立った。  そのまま跳躍すると、船の手すりに立ち、これまた器用にその上を走った。
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