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そして子供は手すりの中ほどで止まると、遥か遠くにある地平線を睨みつける。やがて、子供の視線の先にある地平線が、僅かに歪んだ。
「リクィ!」
子供は肺からすべての息を吐き出すように叫んだ。
「わかってらぁ!」
女-もとい、リクィは子供の叫び声に応えると、船の穂先に向かう。そしてそこにある二つの黒い球体にそれぞれ右手と左手を重ねると、球体に僅かな波が広がった。
リクィは顔に笑みを湛えると、手に神経を集中させる。
「飛べ、シャルス!」
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