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《ガキィイイン!》
「ジーナ…!どうして!」
「ラルフ、すまない。作戦変更だ。とにかく私達二人でコイツの腕を落とす。」
「…考えても仕方ないか。わかった、お前に従うよ。」
「ありがとう…!」
《キーン!ガッ!キーン…》
…リオンはきっと、コイツにほんの少し残っていた人の心を感じとったんだ。組織にこんな姿にされたあげく、捨てられて…そして裏切られた…その悲しみや憎しみを…。
私はとにかく腕を斬る事に集中した。
「私の…一番大事な…もの…? …そんなの…最初から決まってるじゃないか。それなのに私は…。ごめん…今行くよ!!」
《ドン…!!!》
「ラルフ!そこだ!」
《ガシュッ!!》
私達はなんとか両腕を斬ることができた。
…あとは、再生される前に首を叩き壊す…!
私は奴の首を力いっぱい大剣で殴った。
《ガィイイン!!》
…くそ!やっぱり30%の状態じゃ…!
《ヒュン…!》
「!!」
《ドガァアア!!》
奴の首の外側が砕けた。そして次の一撃で首が落ちた。
《ドシャア…》
「リオン…!」
「ガ…ガ…ゴメン…ミンナ…。」
「…!!」
「メイワク…カケチャッタネ…。」
「あ…謝らなくていいから…早く妖力を抑えろ…!」
「…モウ…戻レナイ…。限界…越エチャッタミタイ…。」
「そんなはずない!勝手に決めるな!」
「ワタシガ化物ニナルマエニ…ワタシノ首をハネテ…。迷惑カケタママデ…ホントニ…ゴメンネ…。」
リオンは暴走しようとする身体を必死に抑えようと、しゃがみ込んだまま体を震えさせていた。自分で自分の首をはねる事も出来ずに、ただひたすら…その小さな体で覚醒への衝動と闘っていた。
「い…嫌だ!戻れ…戻れリオン!」
そんな彼女の姿を目の前にして私は、どうすればいいのかわからず思った事を言葉に出すだけで精一杯だった。
「…ジーナ。お前がやらないなら私がやるぞ。リオン…それでもいいか…?」
「ウン…。ゴメンネ…ラルフ…。」
ラルフは目にうっすらと涙を浮かべながら歯をくいしばり、泣く事を我慢していた。
それは…私には無理だった。
「うっ…ぐ…。待ってよ…。だめだよラルフ…やめてよ…。」
《カチャ…》
ラルフが剣を構えた。
「ホントニ泣キ虫ダナ…ジーナハ…。私ト会ウタビニ泣イテ…」
「リオン、いくぞ…。」
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