人外の者

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私は森のなかでさ迷っていた。 校外学習でキャンプに来ていたのだか、皆とはぐれてしまったのだ。 「…ーナ、ジーナ!」 後ろから名前を呼ばれた。 振り返ると担任が後ろから走って近づいてきていた。 「あ、先生!」 「ジーナ、心配したぞ。みんな向こうで待ってるから早く行くぞ。」 助かった。遭難したかと思った。私はそのまま先生の後ろをついていった。 あれから20分くらい経っただろうか。なんだか胸騒ぎがしていた。 「先生、あとどれくらいで合流できますか?」 「そうだなぁ…そろそろかな」 それだけ言うと先生は黙りこんで立ち止まった。 「どうしたの?先生。」 振り返った先生の顔を見た瞬間、私は気を失いそうになった。 「化物…」 牙を剥き出しにした口からは唾液をだらだらと流し、全身に血管を浮かび上がらせ、こちらを見ている。大人達が『妖魔』と呼んでいるものにそっくりだった。 そして化物になった先生が私に向かって飛びかかってきた。 とっさに避けたつもりが、そのまま脇の斜面から転げ落ちてしまった。 斜面が終わり、ようやく体が止まった。起き上がろうと地面に手をついたとき、なにか生暖かいものに触れた。 血だ。ぶつけた所は痛むけど自分はどこも怪我をしていない。 急いで体を起こすとそこには、見慣れた格好の人が何人も血を流して倒れていた。 クラスの皆だ。 そして化物になった先生が追い掛けてきた。 「どうした…ジーナ…。ちゃんと皆と合流できただろ?なんで逃げるんだよ…」 先生はゆっくりと近づいてくる。私は恐怖で一歩も動けなかった。 もうだめだと思った瞬間、先生の首が飛んだ。 大きな剣を携えた、銀色の瞳をした女の人が先生の首を斬り落としたのだ。 それからの事は全然覚えてない。気が付いた時には薄暗い部屋のベッドの上に横たわっていた。 急いで身体を起こした。 「…っ!!」 腹に激痛が走った。 服をまくってみると酷いことになっていた。言葉で表現するのは難しい。とにかく自分の身体じゃなくなってしまった感じだ。 痛みを堪えてベッドから降りた。そのままフラフラと壁にかけてある鏡に向かって歩いた。 鏡をのぞき込んで私は絶句した。 銀色の瞳をした自分が映っていたのだ。髪の毛の色素も、白ではないがずいぶん抜けていた。 突然、部屋の扉が開いた。 「やっと目が覚めたか、ジーナ。」 そこには黒服の男が立っていた。
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