出発

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《ガキィイイン!ガガガ…》 「く…」 《ガシュ…!ドシャ…!》 私はアルスを斬り伏せた。もう動けないだろうと判断し、剣を収めた。 「ガハッ!ゲホッ…ゲホッ…。なぜだ…なぜとどめをささない…。」 「その必要はないからだ。お前はもう、しばらくは動けないからな。」 「それで…情けをかけたつもりか…?」 「そんなつもりはない。ただ、無駄に命を奪う事はしたくないだけだ。ここでお前を殺しても私達は何の得もしないしな。」 「お前達は…組織を抜けてどうするつもりだ…。なんの為に…。」 「この戦いを…いや、全てを終わらせる為さ。」 「全…てを…。」 「さ、そろそろ行こうか。今の戦いで結構近くにいる仲間に居場所を悟られたみたいだしな。みんな、動けるか?」 「あたしら二人はもう大丈夫だけど、ミネアがまだ…。」 ミネアの意識は戻っていたが、まだ動けないでいた。私は彼女を抱え上げた。 「す、すみません…。」 「それじゃ、行くか。」 私達は妖気を消す薬を飲み、次の地を求めて出発した。 「…下位戦士にやられるようじゃ私もまだまだって事か…。…いずれ…」 …この時アルスが何を思っていたかは彼女以外誰も知らない。 そして、修行開始から一年が過ぎた。 「もう私が教えてやれる事は何もないよ。三人ともよく頑張った。」 「あたしはあんまり強くなった実感ないけどな。だけど、ミネアがここまでついてこれるとは思ってなかったよ。最下位ナンバーの汚名返上ってところか?っはは!」 「キアラさん…汚名返上って…。」 「ん?あぁ、ごめんごめん!汚名ってのはちょっと言い過ぎだったな。」 「…全くだ。」 「あ、あの…」 ミネアの顔が急に険しくなった。 「どうした?」 「あ…あっちの方角に強い妖気を感じるんですが…気のせいでしょうか…?」 全員ミネアが指を差している方向へ神経を集中させた。 「え…。あ…あたしはこんな妖気、今まで感じたことがないぞ…。なんだ?このまがまがしい妖気は…。」 「超…覚醒者…。」 「ジーナ、これがそうなのか…?」 「…間違いない。あの時の妖気とそっくりだ…。」 「これ…誰かが戦ってますよね…?大きな妖気のそばに、もう一つ妖気を感じるんですが…。」 「…!!」 …リオンだ。しかも一人で戦っている感じだ… 「ラルフ!」
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