じじ

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―――春 桜が舞う季節。 それは春の訪れと別れの意味を持つ花びら。 そんな昼時の眠くなりそうな日でも、彼女は2人に膝を貸すのは当然なのかもしれない。 ―――と、桜の木は思っただろう。 「2人とも~、起きないと授業に遅れちゃうって!」 彼女は、彼女の膝を枕にしている2人の耳元で起きるように促していた。 「……むにゃむにゃ、あと5分ぅ…」 「ぐがー」 しかし、2人はそんな彼女の言葉を聞いた耳から反対の耳へと聞き流していた。 「むぅ……、…起きないと私の足がしびれちゃうんだけどなぁ…」 というか、とっくにしびれてるし! 2人は相変わらず、彼女の膝を枕にして寝ていた 「あと4分ぅ~……」 「ぐがー」 昼休み終了のチャイムが鳴ってから、すでに1分が過ぎている。 しかし、午後の授業が始まるまでは多少の猶予がある。 それでも5分程度の猶予ではあるが、2人にとっては、それも昼休みの一部に過ぎないのだ。 「起きないと、起こさないと、…んもう!」 腕時計を見ながらぐっすりと眠る2人を起こそうと試みるが、それでも「あと3分ぅ~」とだけ言って右から左へと聞き流している。 この2人を生半可な気持ちで起こそうなんて考えた自分がバカだったんだ。 なんなら本気でやったるわ!! ついでに言うと、トイレにも行きたいし!! 彼女は自分の短い髪を捲りながら、すぅと深呼吸をして――― 「起きろぉおおぉぉぉっ!!」 「「うひゃあ!?」」 ごろんと彼女の膝から転げ落ちる2人。 さすがの2人も、耳元から甲高い声で叫ばれては聞き流せない。 「うひ~、ちぃちゃんのバカぁ……。充電途中で終わっちゃったじゃないのぉ」 「神奈(かな)が授業に遅れて居残りになるのと、授業に間に合って昼寝の続きをやるのとどっちが良い!?」 「いま寝れるなら寝るべきだと思う!」 ベシッ! 膝から落ちた少女、神奈は頭を叩かれて渋い顔をした。 「悟(さとる)も早く起きて! ……って、なんですぐに寝てんのよ!!」 ゆさゆさと、揺らされても寝続ける悟という男。 神奈みたいに叩きはしないが、それでも強めに起こそうと試みるが……… 「あと30秒ぅ……」 とだけ言って、悟は目を開かなかった。
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