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「魔法使い……か」
ベッドに横になって修は呟いた。
魔法など小説や漫画の中だけのものだった。
誰だって一度くらいは『魔法が使えたらなぁ……』と思うだろう。
だが、頭ではそれが所詮お伽話だと分かっている。
呪文を唱えてみたところで魔法が使えるわけではないし、箒は掃除ぐらいしか使い道はない。
絶対に不可能だと分かっているからこそ逆に憧れてしまうものだ。
ありえないと知りつつもそんな憧れを捨てられない。
修も、何度もそんな"憧れ"を持った事はある。
別に現実に絶望していたわけではない(流石にそこまでネガティブではない)。
数は少ないが親友と呼べる奴もいる。
地味とはいえそれなりに学校生活を楽しんでいた。
(あの手紙がきっかけなのかな……)
思えばあの手紙を見るまで(見た後もしばらく)は日常がそこにあった。
こっちの世界で自分がどうなるかは分からない。
けれど、想像もしなかった可能性が広がっているのを感じた。
せっかく、こんな世界に来られたのだ。
(思いっきり楽しもう)
……微妙にズレた結論に達した修だった。
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