軽率に人不足の業種に活路を見出そうとするなかれ

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雇用を確保するために必要なことは何かというテーマをよく見る たいていの者はこう言うのだ  農業や介護など人が足りない業種に活路を見出し、受け皿とすべきと  果たしてこれは現実的な解答であろうか  そもそも社会は農業→工業、商業と推移していくものである 農業では稼げないから、衰退したのである 農業では今の平均生活水準に達することが困難なのだ 昔のようにみんなが貧しかったときとは違うのである さらに日本のような狭い地が受容できる人数も知れており、大きな受け皿とはなりえない 農作物には付加価値をつけにくく、逆に付加価値をつけようとバイオテクノロジーや遺伝子組み換えをしようものなら、ますます消費者は遠ざかるであろう よって農業に活路を見出すことは困難である  介護にいたっては、そもそも介護というものは、もともとは各家庭で行われてきたものである以上、専門性は低く、とすると当然報酬も低い  仮に介護報酬を20%という破格の上昇をさせたとしても、所詮手取り10万が12万になるだけである 介護は職業として無理のある業種であるということだ 職業として無理のあるものに活路を見出せるはずはないのである  このように単に人が足りない業種を突破口として軽率に列挙すべきではないのである   
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