#03.enemy

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 三畳の狭い部屋で瀬希は萎縮していた。原因は一緒にいる藤堂が醸し出す怒気だった。  押し入れから胴着を出す彼の背中を黙って見つめていたが、息詰まる空間に我慢が出来ず瀬希は恐々と口を開いた。 「あの藤堂さん、急にどうしたんすか?」  忙しなく動いていた藤堂の手が止まった。 「何が?」  地を這うような声が返され、更に萎縮してしまいそうになるが、意を決して核心を突いた。 「さっきから芹沢さんに怒ってますよね?」  刹那、彼は勢い良くこちらを振り向いて笑った。しかし目だけは未だに怒りに満ちており、そのちぐはぐな表情が恐ろしかった。 「怒っているのは僕だけじゃなく君もでしょう?」 「えっ?」
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