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芹沢に対して? いつ何のことだ? 質問に質問を返されて瀬希は戸惑った。
「何のことっすか?」
「顔のこと。女みたいって言われて怒ってたじゃない」
藤堂は苛立たしげに答えた。
「……気付いてたんすね」
あの時、藤堂は自分の後ろに座していたはず。そんな状況でどうやって見抜いたのだろう。
確かに芹沢には怒りを持っていたが、あの場で事を荒立てる訳にもいかず、ばれないように自分の表情や雰囲気を和やかに誤魔化した。現に他の浪士達は気付いていなかった。
「他の人達が分からなくても僕は分かるよ。同じだからさ」
「同じ?」
言っていることが理解出来ずに首を傾げると、胴着と袴を渡された。
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