#03.enemy

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「僕もあの人に言われたんだ。女みたいって……その上あの人子どもだって言うんだよ! 酷いと思わない?」  憤慨する彼に対して瀬希は何も答えられなかった。同意を求めてくる藤堂の視線が痛い。  何故なら彼の容姿は芹沢の言う通りだからだ。全体的に小柄で肌は白く、大きな瞳に可愛らしいあひる口、頬に掛かる髪が小顔を強調していた。正しく藤堂は十四、五の女子と変わらない風貌の持ち主だった。  逆に瀬希は女顔ではあるけれど、それ以外は普通の男だ。手足は武骨で声も低く、肩幅もそれなりにある。身長も高い。 (――何だか俺、自信が湧いてきた)  人間誰しも自分より下の者を見ると、今の自分はまだ良いほうだと思ってしまう。
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