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「……君も芹沢さんと同じか」
「あ」
小さく呟かれた声に瀬希は、まずいと肩を大袈裟に跳ねた。
一つも返事をしない瀬希を藤堂は悪く捉えたのか、先程よりも怒りが増強していた。殺気染みた雰囲気を醸し、目は完全に据わっている。藤堂の腰には脇差しがあり、対して瀬希は芹沢達に挨拶した部屋に刀を置いてきたままで丸腰の状態だった。
(や、殺られるぅー! なに俺こんなことで死ぬの!)
頭の中は混乱に陥った。どうせ死ぬなら大好きな酒を飲んでから死にたいと、訳の分からないことを考え出す。
「瀬希君、あなたねぇ」
徐に藤堂が青筋浮かべて近寄ってきた。
斬られる! そう確信して瀬希は目を瞑った。
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