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妙は可愛らしい顔をしており、如何にも男受けが良さそうな姿をしている。着物の袖や裾から覗く手足が紗恵以上に白く華奢だった。
しかし、いくら容姿が整っていようと瀬希には関係なかった。先程から藤堂と話している妙の甘えるような猫撫で声が勘に障ってしょうがない。とても苛々する。
「藤堂さん、俺着替えるんで先に行っててください」
普通に喋ったつもりが間違って不機嫌な声を出してしまった。
「瀬希君?」
「いや、ほら藤堂さんだけでも先に行かないと土方っていう人うるさいんでしょ」
怪訝な表情で藤堂に呼ばれ、瀬希は何でもないように思い付いたことを言って誤魔化した。
「俺もすぐ行きますから。藤堂さんは先にお願いします」
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