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有無を言わせないように藤堂の背中をぐいぐい押して廊下に突き出した。
「……じゃあ瀬希君も早く来てね。場所は外でさっき瀬希君が待ってた所だから」
「分かりました」
藤堂は何か言いたげな顔をしていたが、諦めたらしく集合場所を伝えて行ってしまった。
立ち去っていく背中を見送って瀬希は小さく溜め息を吐いた。藤堂がしつこい性格じゃなくて良かった。変に勘づかれて面倒なことになるのは御免だ。
「ねぇねぇ、瀬希君」
名前を呼ばれて後ろを振り向くと、妙が上目遣いでこちらに近付いてくる。否応なしに顔が強張った。
「――何?」
藤堂がいなくなって生理的に受け付けない妙と二人っきりになった今、瀬希は隠すことなく嫌悪感を表した。
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