227人が本棚に入れています
本棚に追加
「瀬希君って綺麗な顔してるのね。私、瀬希君みたいな人好きなの」
「はぁ? あんた何言ってんだよ」
妙は目を細めて瀬希の顔を品定めするように見つめてきた。二人の間の距離は徐々に縮まる。そのことに気付いた瀬希は咄嗟に後退って体を壁に張り付けた。
「……ねぇ、私のものになってよ。瀬希君のこと気に入っちゃった」
首を傾げて可愛く見せようとする妙の言葉に瀬希の顔は険しいものとなる。
「ふざけんな」
怒気を含ませて言うと、苛立ちが少しずつ増していった。こんな性格悪そうな女と恋仲になるなんて絶対にお断りだ。態度も言動も猫被りのようで癪に障り、尚且つ自意識過剰なところが無性に腹が立つ。
第一印象から既に妙は良い娘とは思えなかった。
「どうして? 他の隊士さんはみんな私を好いてくれてるのよ。だってこんなに可愛いんだもの。あなただけおかしいわ」
最初のコメントを投稿しよう!