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紅魔館の中から紅美鈴ともう一人、銀髪にメイド服姿の女性が出てきた。
「初めまして、十六夜咲夜です。」
「あ、えーっと、こちらこそ初めまして、佐藤健一です。」
互いに頭を下げた。
実質的に紅魔館を仕切っている咲夜が出て来たのを霊夢が確認すると「それじゃ、神社に戻るわ。」と、物凄い速さで空を飛んで帰って行った。
健一は今になって霊夢がわざわざ移動速度を合わせてくれていた事に気付いた。
「さて、あなたは幻想郷の外から来た人間で、紅魔館に居候する代わりにここで働きたい。という話しらしいけどそれで間違い無いわね?」
先ほどの霊夢の話しもあったので健一は無言で頷いた。
「それじゃ、あなたは何の能力があるのかしら?」
「えーっと、学力はあまり良く無くて、弓はある程度扱えて…あと、小さい子の面倒を見「そうじゃなくて!」」
咲夜が遮った。
「私なら“時を操る程度の能力”、こっちにいる美鈴なら“気を使う程度の能力”みたいな、特殊な能力のこと!」
健一はそれを境に黙り込んでしまった。
「…なるほどね。あの紅白巫女もとんだ無能をよこしてくれるじゃない。」
「里を選ばずにわざわざ紅魔館に住みたがるくらいだから何か特別な事が出来ると思ったのに、がっかりだわ。まぁ、いいわ。とりあえずお嬢様達に挨拶してきなさい。」
そう言うと咲夜は一瞬で消えてしまった。
健一は時を止めて移動したのだろうと自己解釈した。
「あ、レミリア様は最上階、フラン様は地下の自室、パチュリー様は地下の図書館にそれぞれ居ると思います。」と美鈴。
ここで健一が疑問に思った事を美鈴に尋ねる。
「あの、咲夜さんっていつもあんな調子なんですか?…物凄い形相だった気がするのですが。」
「いえ、そんな事は無いですよ。ただ、夕方という忙しい時間帯だったので余り時間を割けられなかったのだと思います。」
思わず苦笑いを浮かべながら質問に答えた。
(そっか、確かに時間を考えるべきだったな。)
健一は夕日に目を細めながら少しだけ反省をした。
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