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目を覚ますとそこは見慣れない部屋であった。
「あれ、なんでここで寝て…!」
健一は少しの情報整理を行った後、自分の右足を確認した。
…気を失う直前と同様に、膝から下が無くなっていた。
「寝ても覚めても地獄ってか。」
その時、部屋の扉が開き咲夜が入ってきた。
「あら、お目覚めのようね。」
「さ、咲夜さん!ここはどこ!?っていうか自分はなんでここで寝てたの!?確かフランの部屋にいたはず!」
健一はガバッと身を起こし、咲夜に訊いた。
「これからここはあんたの部屋よ。お嬢さまには一応紹介しておいたわ。」
それと、と付け足し、
「物騒な物を持って無断でお嬢さまの部屋に侵入するなんて、ほんと命知らずね。私が行かなければ死んでたわよ?冗談抜きで。」
咲夜の忠告を健一は黙って聞いていた。
「それより、これからどうすんの?片足を失ったみたいだけど。」
その指摘で健一は自分の能力について思い出した。
「それについてはご心配なく。…見てて下さいよ。」
パン、バチバチ…!
健一の右足が創り出された。
「ほら、この通りで……すっ!?」
ベッドから降りて自分の右足を見せびらかそうとしたが、体重を乗せた瞬間に有り得ない方向へぐにゃりと曲がった。
結果、バランスを崩し右側面から床に倒れた。
「まぁ、見事な作り物ね。期待して損したわ。」
咲夜は冷たい言葉を浴びせると、健一の部屋を出て行ってしまった。
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