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健一の「待って」という言葉は虚しく、部屋で反響した。
自身の能力に異変が起きたのではと判断し、壁伝いに起き上がって部屋を出た。
「とりあえずこの飾りの足、消せるのかな。」
と、右足に手をかざした。
先ほど創られた足が消え、代わりに生々しい足の断面が現れた。
「そういや、痛みが無いし血も止まってる…」
咲夜は健一が気絶している間に右脚の時を止め、鎮痛剤を打ったのであった。
「後で咲夜さんに訊いてみるか。」
長い廊下を進んでいる内に、螺旋階段が視界に入った。
「地下は図書館とフランの部屋しか無かったから…とりあえずここは一階より上だな。」
自己解決をし、一段ずつゆっくりと階段を降りた。
「しかしまぁ、片足が無いってのは何とも不自由なこった。」
自分の足が消えた原因を思い出し、顔をしかめる健一。
様々な事を考えているうちに一階を通り過ぎ、地下に着いた。
つい先ほどに創り出した看板はしっかり残っている。
「一応…試してみっか。」
パンと両手を合わせ、正面に手の平を出した。
バチバチという音の後、全く同じ看板がもう一つ横に創られた。
「え!?能力が使え…た!?」
健一は更に混乱するが、手をかざして創り出した看板を一つだけ消し、看板の矢印の方向へ向かった。
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