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~時を同じくして咲夜視点
「そういえばあの弓矢の事訊き忘れてたわね。」と、健一の部屋へ戻った咲夜。
しかし、
「…いない!」
健一のあの姿で行動をとると思ってなかった咲夜は油断していた。
「あの馬鹿! 鎮痛剤の効力がそろそろ切れるってのに!」
咲夜は扉を勢いよく閉め、廊下を駆け出した。
一方、何度も転びそうになるも何とか図書館に辿り着いた健一。
「パチュリーさーん、ちょっと訊きたい事があるんですけどー…」
慣れない空間に威圧されて自然と声が小さくなる。
「あら、また来たのね…って、その右足どうしたのよ。本当に地獄送りにされたのかしら?」
と、魔導書を片手に図書館の奥から現れたパチュリー・ノーレッジ。
「…見事に送られましたね、はい。パチュリーさんも“運命を操る程度の能力”がある気がしてきたんですが。」
「そんなわけ無いじゃない。で、今度は何の用かしら?」
健一に気を遣って椅子を用意し、話しを本題へ移した。
ありがとうございます。と頭を下げ、図書館を出てからの事を話した。
「あんた本当に馬鹿ね。フランは人に慣れていないんだから当たり前の結果よ。そして、人の話しを最後まで聞かないからそうなるのよ。」
とその時、健一が悲痛な叫びをあげた。
それを冷静に「鎮痛剤の効果が切れたのかしらね。」と説明するパチュリー。
「鎮痛剤、鎮痛剤…あった。いい?痛みを止めたければ落ち着いて聞いて。」
健一は激しい痛みと戦いながら、何度も縦に首を振った。
「この本に鎮痛剤の成分が書かれているの。で、それを全て頭に叩き込んだ上であなたの能力で薬を創ってみなさい。」
意識をつなぎ止めながら液体の入った注射器を創り、それをパチュリーが受け取って右の太腿に注入した。
するとそれまでの痛みが消え、健一は落ち着きを取り戻した。
「これであんたの能力について分かった事があるんじゃないかしら?」とパチュリー。
「多分だけど…答えが正しいか確認してみたいから人体に関する書物か何かを貸して下さい。」
その頼みにパチュリーは一度頷き、図書館の奥へ消えた。
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