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それから少しして、鉛色の空に、再び雷鳴が響いた。
と、同時に、紙を捲る手が止まった。いや、止まったばかりではない。大きく溜め息をついたかと思うと、そのまま本を閉じ、背後にそびえる本棚の隙間に差し入れてしまった。そして足を組み、背伸びをする。
それを見計らったように、あの香りが鼻をつついた。彼の過敏になっていた神経が和らぐ。
だが、そのしばしの安らぎも、打ち付ける雨音が、容易く吸い取っていく。
彼は、深く、長い溜め息をつき、その純白の毛並みを指先で弄りつつ、窓の外を眺めた。
落ち着いて初めて気付いたが、どうやら、無いよりましだと思い、そこらの草木で丹精したすだれが、この暴風でどこかへ飛ばされたようだった。
おもむろに頷いた彼は、もう一度外を眺めた。
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