崩れる日常

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意識を失った潤は夢を見ていた。 それはいつも決まった所で始まり、そしていつも決まった所で終わる。 その夢とは… 潤は右目を手で覆い、肩で息をしながらただ前を睨んでいる、しかしそこには何もいない。 だが右目を覆った手をどかすとそこにはもう一人の潤自身がいた。 もう一人の潤は口を開く。 『もう――ろ。――え―人間は――を―――ろ!』 それは聞いた潤自身は… 「――れない…けど―――はまだ――――る!」 そう言うと潤の右目は輝き、もう一人の潤に向かって走り出す。 いつもここで夢が終わる。 そして潤が目覚めた。 「…ここは?…っそうか…オレ気絶して…それにしてもまたあの夢見たな…」 何回目だよ…と思いながら辺りを見回す潤、するとすぐに異変に気づく。 「色が…ない!?」 そう、色がないのだ。 さっきまで緑溢れる山道を下っていたのに今の景色はまるでモノクロ…澄みきった綺麗な水色の空にさえ色がない。 そしてもう一つの異変に気付いた。 「…っ時間も止まってる…、一体なんなんだよ…」 潤の視線の先には秒針が一ミリも動かない腕時計があった。
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