act1 ありきたりな日常

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急いで自転車を漕ぐ。入学式まであと15分……ギリギリ間に合うかな? 軽くスピードを上げつつ、緩やかな坂を登ると、見覚えのある後ろ姿が見えた。 このタイミングで、最も会ってはいけない人物の後ろ姿が。 学校への道はここしかないし……仕方ない、知らない人の振りをして通り過ぎようk「何をブツブツ言ってるの、楸?」 「ひゃあ!?ま、円(マドカ)急に話しかけないでよ」 僕に話しかけてきた長い黒髪の女の子は園渕 円(ソノブチマドカ)。 僕とは対照的な腰まである長い黒髪を、風に靡かせる姿がとっても綺麗な女の子。 こういう子を……大和撫子って言うんだっけ? 「あはは、ごめんごめん。で、こんなところで何してるの?急がないと遅刻しちゃうよ?」 「あれ……」 ボクの指の先にいる人を見る円。 その人が誰かわかったのか、円は苦笑いをした。 「美鈴(ミスズ)ちゃんか……」 赤木 美鈴(アカギミスズ)……円が言った人物の本名であり、円と同じ小学校以来の親友。 彼女は特殊な性癖の持ち主であり……今のボク達にとって危険なものになっている。 「どうする……?」 ボクは円に問いかける。 「他の道も無いし……知らない人のふりをして通り過ぎるしかないわね……」 円も同じ考えか……。 他の方法も無いため、ボク達は意を結して知らない人のふりをすることにした。
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