第一章<卵>

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声が聞こえ俺は振り向く。 そこには俺と同じ真新しい制服に身を包み鞄を両手で持った黒髪の女の子が立っていた。 ちなみに真園学院高等部の制服は洋服タイプを採用している他の学院と違い和服タイプの制服である。背中と左胸の辺りに校章の刺繍があってその色によって学年を見分ける事ができる。俺たち一年は緑。二年は青。三年は赤である。 ちなみに話しかけてきた女の子の刺繍は緑色だ。つまり俺と同じ一年なのだが、見覚えのない顔だな。 「なんだ?」 「あの…高等部の校舎ってどこにあるかわかりますか?」 「ひょっとして、高等部からの編入組か?」 真園学院はエスカレーター式と言っても中等部や高等部から入学する奴もいる。目の前の女の子がそうだな。 「はい。それで校舎の場所が分からなくて…」 「たしかに、ここは無駄に広いからな。俺も同じ一年だから一緒に行くか?」 「は、はい。お願いします」 こうして俺は女の子と一緒に高等部の校舎に向う。
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