第一章<卵>

9/28
前へ
/30ページ
次へ
俺と女の子が出会ったのは学院の校門から入って少し進んだ校舎と学生寮への分かれ道のところ。 ちなみに真園学院は全寮制であり、俺も初等部の頃から寮に住んでいる。 「で、おまえ名前は?」 「私は近衛(このえ)ナルミといいます」 「俺は上名(かみな)セイジだ」 互いに自己紹介したあとは適当な話をして校舎までたどり着く。すると校舎の入り口のすぐ側にある掲示板には多くの生徒が集まっている。 「あそこになんかあるんですか?」 「あぁ、掲示板に張り出されてるクラス表で自分達のクラスを確認してるんだろ」 掲示板の前は込み合っているので俺たちは少し離れた場所で生徒が少なくなるのを待っていると 「お~い。セイちゃ~ん」 掲示板の方から手を振りながらこっちに来る一人の男子生徒。ボサボサでオレンジ色の髪と茶色の瞳が特徴で制服を着崩して中にはジャージを着ている。 奴の名前は“堂島琴太(どうじまきんた)”初等部の頃からの友達だ。 「琴太か。相変わらず、馬鹿みたいに元気だな」 「馬鹿みたいは余計だよ。それよりその娘は誰?」 どうやら、俺より近衛の方が気になるらしい。 「彼女は編入組だ」 「ど、どうも近衛ナルミです」 「ナルミちゃんだね。オレっちは堂島琴太ってんだ。よろしくね」 「で、お前はもうクラス表見てきたんだろ?」 「おうよ。オレっちはAクラスだったよ。ちなみにセイちゃんも同じAクラスだったよ」
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加